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THE LAUNDRY LAB

無人型ランドリーの計画。
ー 美しいは、安心。ー を設計の軸に置き、利用者がコインランドリーへ抱くネガティブな感情を、空間の秩序で先回りして解くことを目指した。

外部は通りに開いた構成とし、路面と正面に大きな窓を同一リズムで設置。昼は自然光が奥まで届き、夜は照明が店内の様子を外へ明るく示す。この連続する開口部は、外から中がしっかりと見えている安心を、直感的にユーザーに伝える機能を持つ。
内部は、内壁を挽き割ったラワン合板を全面に張り、什器はステンレス・バイブレーション仕上げで統一。傷や指紋が目立ちにくく清掃しやすいうえ、経年の表情が汚れとして見えにくい。

行為を導く寸法計画も要点である。ここでは、ひとは誰しも「場を汚す初めてのひとになりたくない」という心理を利用した。
たたみ台は、カートやバスケットが“元の位置に戻したくなる”割付と奥行きを設定。乾燥機前の待機スペース、通路幅、荷物置きの高さも作業手順に合わせて定義し、使い終えた物を自然に所定位置へ戻せる。サインは文字で必要事項だけを示す。迷いが減ることで、場が乱れにくくなる。

清掃箇所は一筆書きで巡回できる配置とし、日常の維持管理が滞らないようにした。結果として、必要な部分に適切に手を入れるだけで、利用者自身が空間を整えたくなる、自浄作用を持った環境が生まれる。

「コインランドリーはどこも同じ」「殺風景で落ち着かない」といった先入観に対し、素材選択と寸法設計で応える。美しい状態が維持されるほど安心が高まり、その安心が次の利用者のふるまいを整える。無人であっても信頼して使える、連鎖する秩序を備えたランドリーを計画した。

山本エンタープライズ株式会社

deta

2020年

山形県,山形市

credit

施工 : 有限会社タムラ建設

写真 : 渡邉吉太

 

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