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沢乙うちみ 山桜

「ハレ」と「ケ」をコアに置いた客室計画。

入口側に「ケ」を集約し、動線のはじめに収納・荷物置き・水まわりなどの機能をまとめた。入口から細長い廊下を通し、照度を段階的に落とすことで、滞在の主舞台である「ハレ」へ違和感なく切り替わる。

客室本体の「ハレ」は、無垢材と漆喰で統一。壁・天井は左官仕上げ、床と造作は南三陸の杉材の柿渋塗装で揃え、素材の数と見える要素を絞ることで視線が散らない環境をつくる。ベッドまわりは間接照明を基本とし、光源を見せずに面の明暗で調整。家具は高さを抑え、重心を低く保ち、視覚上の天井高を確保した。置き家具は最小限とし、機能は壁面と連続する造作に納めている。ローテーブルは、建物西側に自生していた樹齢400年と言われる山桜の古木(残念ながら改修年の春に突風で倒れてしまった)を使用した。

導入部の「ケ」で身支度や荷ほどきを済ませると、主室の「ハレ」では休息や会話に集中できる。二つの相を連続させつつ役割を明確に切り替える構成とし、到着から寛ぎ、就寝までの場面を一つの動線で整理し行為が滞りなく連続する。空間の二面性を明確化し、滞在者の身体感覚と行為のスケールを拡張する客室を目指した。

沢乙うちみ

deta

2021年

宮城県,宮城郡

credit

施工 : 大東建設株式会社

写真 : 佐々木シゲル

 

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